「ラファエル前派の軌跡」展を見て

いい展覧会だった。

家内が嫌がっていたように、一見、この展覧会の見せ場は、ロセッティの描く「運命の女」(主役はモリスの妻である場合が多い)を並べることではないか、と思われがちだったが、やはり違っていた。

その分ではいいのだが、一通り見て、また戻り、念のために音声ガイドも借りてもう一度見てみたが、発生順に絵画を展示しても歴史の必然がなかなか読み込めない。

見えるもの(絵画や家具、テキスタイル)を並べるだけでは、必ずしも開催主旨の全容がうまく伝えられるわけではない、と言うことが実感できた展覧会だった。

ラスキンの想いがモリスにまで繋がるには、見せる展覧会だけではダメで、ラスキンの考え方の分析から始めて、相当深くまでこの時代の歴史と哲学、宗教まで、現代語訳しなければならないと実感した。結局、6時の閉館まで、2時間近く見てみた結論である。

それでも解読すべきは、モリスではなくラスキンである、ということが得られた大きな収穫だった。